他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標
他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)は登録を受けることができません(4条1項15号)。
本号の規定は10号~14号までの総括規定であり、出所混同のおそれを防止するものです。例えば、甲会社が著名商標「ABC」を指定商品「菓子」で登録している場合、他人が商標「ABC」で「菓子」と非類似の商品である「被服」について出願した場合には、本号の規定により登録を受けることができない可能性があります。需要者は、商品「被服」の出所が甲会社であると混同を生ずるおそれがあるからです。
出所混同は、実際に出所混同を生じている場合でなくても、出所混同のおそれがある場合には本号の規定により登録を受けることができない可能性があります。出所混同は、①標章の周知度、②造語商標であるか否か、③ハウスマークであるか否か、④多角経営の可能性、⑤商品間、役務間、商品と役務間の関連性によって判断します。
出所混同は、同一事業分野の事業者間におけるものに限定されるわけではなく、経済的、組織的に何らかの関係がある者(親子関係、系列会社等)の業務に係る商品又は役務と混同を生じるような広義の混同も含まれます。このような広義の混同を含むことによって、著名商標へのただ乗りを防止し、また著名商標の出所表示機能の希釈化を防止することになります。
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